赤頭巾ちゃん気をつけて 

赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫)

赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫)

頭の良い男の子、庄司薫君(作者のペンネームと作中の主人公が同じ名前)のなんだか理屈っぽい流れるような独特な一人称で綴られる青春小説ですよ。どれくらい頭いいかというと、日比谷高校生で東大受験しようとしてたぐらい。でも、安田講堂立てこもり事件のせいで受験が流れるのだった。ついてない薫君。さらに足の指の爪を剥がす怪我をする。おまけに幼なじみの女の子の機嫌をちょっとしたことで損ねる。とことんついてない。でも、そんなついてない一日も素敵な出来事で締めくくられる。このラストの薫君の気持ちの高揚ってのは読んでる私もいっしょに嬉しくなっちゃったですよ。この薫君の、ひょうひょうとしてるというか、なんだか軽やかで、でも内省的で、悩める若者なところが妙に好きだなあ。

ただ、この辺の歴史に全然詳しくないので所々でポカーンとなった。そういう雰囲気をその時代の手塚マンガの時事ネタでチラっとかいま見たぐらいの認識なのですよ。

作中で主人公の薫君がよく言われるらしい、どうやら侮蔑の言葉っぽい「あなた、ケーコートーね」というのが、どういう意味だかさっぱりわからず、とても頭を悩ました。母に聞いたら即解決。蛍光灯はスイッチを入れてからつくまでにちょっと間があるので「鈍い」という意味になるらしいよ。これって皆さん知ってる言葉なんだろうか。私はこの本を読んで初めて知った言い回しなのですが。それに最近の蛍光灯は結構すぐつくと思うんだ。