大誘拐 RAINBOW KIDS

大誘拐 RAINBOW KIDS [DVD]

大誘拐 RAINBOW KIDS [DVD]

とにかく大好きな映画でしてな。DVDで出ると知って即購入ですよ。刑務所を出所したての3人の若者が、紀州一の大山林王の老婆を誘拐して身代金をせしめようとするのだが、何故かいつの間にか誘拐された当の老婆が積極的に計画を主導していく、というのが大まかなあらすじ。

悪い人は全然出てこない、ユーモアにあふれていて、なおかつテンポよくスリリングな物語。それでいて、重いテーマもサラっと描いている。原作小説も面白いし映画も面白いという希有な作品ですよ。


この誘拐されるおばあちゃんを演じるのが北林谷栄さんで、もうこれ以上ないくらいハマっているのです。「獅子の風格と、狐の抜け目無さと、パンダの親しさを兼ね備えた人格」という言葉が劇中に出てくるのですがまさにその通り!素敵なおばあちゃんの魅力にメロメロです。

犯人一味に身代金を「5千万」って言われたときのおばあちゃんがまた最高!それまで優しげに笑ってたのに豹変して「私はそないに安うはないわ。端たは面倒やからきりよく百億や。それより下で取引されたら、末代までの恥さらしや。ええな。百億やで。びた一文負からんで」とビシッと格好良く言い放つのですよ。人質なのに犯人に無茶な要求をつきつける逆転した関係がまた愉快。


他にも、出てくる人物が全員良い味だしてます。3人の誘拐犯もそれぞれ気の良いヤツらだし、彼らをかくまうことになる、元女中頭で忠誠心の塊のくーちゃん(樹木 希林)もすごい愉快。なにしろ、おばあちゃんの為なら細かいことには目をつぶりまくる!!刑事が聞き込みに来た時の「ふ菓子」のくだりは心の名セリフ認定。「金魚のエサ旨かったやろ?」「そうそう!あのふ菓子!」「ふ菓子はもうええ!」ってやりとりだけ抜き出しても何のこっちゃって感じですが。ちなみに劇中で重要なセリフでは全然ない。

あと、百億をつんだヘリを運転するパイロット(本田博太郎)の「重たいです」っていうのも心の名セリフ認定。言い方がとにかく独特で心に残りまくる。


おばあちゃんに大恩があって助けようと一生懸命捜査する、和歌山県警の井狩本部長(緒形拳)もビシっとしてていいんですよ。実質誘拐団の計画立案は途中から完全におばあちゃんなので、実は助けようとしてる当の本人に、裏をかかれているという妙な構図がなんともいえない。あんま関係ないけど、この人の名前、音声で聞くと「イカリ」なのでドキドキするのです。劇中の彼がもうちょっと老けてたらすごいゲンドウに似てたんじゃないかと思った。

そして、おばあちゃんの子供、四男の岸部一徳がまたええ味!普段売れない絵描きだが、いざ身代金を捻出する資産算定に入ったら誰よりも経理の才能があることが明らかになるところがすごい好きなんだ!私の岸部一徳好きはここから始まったのでした。